店内構造やレイアウトによる許可要件

社交飲食店の許可においては、店舗(主に客室)の面積や照度(明るさ)をはじめ、いろいろな基準が定められています。

店舗を契約し、内装を施すにあたって注意すべき点も多くあります。

後からどうにでもなることもある一方、後になってはどうしようもない要件もありますので、店舗を探す段階から気を付けておかなければなりません。

それぞれ詳しく解説していきます。

客室内において、見通しを妨げるものがないこと

社交飲食店の許可申請を行うとき、店舗全体を「客室」「調理場」「その他」に分けたうえで図面を作成し、提出しなければなりませんが、客室においてはそのどこかに見通しを妨げるものがあると許可は出ません。

簡単に図にするとこういう感じです。

この図でいう「仕切り」が天井まで伸びている場合は完全に客室内の見通しが妨げられるため、アウトです。

ただし、「見通しを妨げるもの」に関しては、「1m以上の高さがあるもの」とされていますので、もしこの仕切りが1m未満の高さである場合は、セーフになります。

また、見た目上は透明なガラス板なども、結局あとからそこにシールを貼って見通しを妨げたり、光の加減で見通しづらくなったりするため、「見通しを妨げるもの」としてみなされます。

テーブルや椅子の背もたれ、観葉植物が1m以上あっても同様とされます。厳しいですね。

よくある「カウンター」についても同様なのですが、カウンターのこっちもあっちも客室の場合は「客室内の見通し」に関わってくるので高さに注意すべきですが、カウンターのこっちは客室、あっちは調理場(又はその他エリア)の場合は1m以上あっても許可に影響はありません。

なお、「客室内に見通しを妨げるものはない」ということは裏を返せば「客室全体がどこからでも見渡せる」ということになりますが、東京都の場合は、許可の審査の際、客室のあらゆる立ち位置から客室全体が見通せる必要はありません。

客室のどこかしらから、全体が見渡せるポイントがあれば、基準はクリアするのが通常です。
上の図では、客室のどこに立っても、仕切りが邪魔してどこかしら客室内に死角ができるということで、東京都でもアウトとなります。

客室の面積は原則16.5㎡以上あること

この要件には前提条件があって、客室が2つ以上に分かれるときは、その1つについて16.5㎡以上の面積が必要とされます。(あまり見ませんが、もし客室が和室の場合は、16.5㎡以上ではなく、9.5㎡に緩和されます。)

もし、客室が1つだけであれば、この面積要件はありません。(理屈上、ものすごく狭い客室でもここはクリアとなります。)

社交飲食店の中にVIPルームなどの個室を設ける場合によく注目される要件です。その個室は16.5㎡(和室の場合9.5㎡)以上の広さを確保する必要があります。

しかし、この要件は他にも重要な役割を果たすことがあります。先ほど仕切りがあって許可が下りない例として画像をアップしましたが、そこに少し加工を加えたうえで、再度例としてアップします。

このレイアウトで、客室を1つとして申請する場合、見通しの問題でアウトでしたが、上の図のように「客室1」「客室2」と分けることでクリアできる場合があります。

これであれば客室1単体で見たときに見通しには問題なし、客室2の場合も東京都ではどこか1か所から全体が見渡せるポイントがあればよいのですから、見通しに問題ない理屈が立ちます。

唯一の問題は、客室を分けることでそれぞれに16.5㎡以上という要件が加わることです。
上の図で客室1も客室2もそれぞれ16.5㎡以上あるのであれば、この方法は有効です。

この面積要件は何も「個室」の時だけ考えればいいことではありません。こうやって、有効活用もできるということなのですね。

客室の内部が外部から容易に見通せないこと

これはつまり、お店への入口のドアがガラス張りでドアを閉めていても外から客室内の様子を覗くことができたり、いくら高層階にあったとしても、どうにかして窓の外から覗き込めばこれまた客室の様子が見えてしまうということはダメだということです。

よって、店舗出入り口のドアを鉄製のものにしたり、もしガラス張りでもフィルムを張る、店内側にカーテン(消防の観点から、防炎性のもの)や壁の目隠しを作るなどの対応が必要です。

窓についてはもし透明であればそこにフィルムを貼って店内が見通せないようにします。
(ちなみに、黒フィルムを貼ると太陽光の熱でガラスにひびが入ることがありますので、白系統のフィルムが推奨されます。許可の観点からはどちらでもよいですが。)

客室内の明るさは5ルクス以下とならないこと

基本的には営業所全体が5ルクスを超えていなければなりませんが、実務上は「客室」において確認されます。

明るさというものは目でみて数値が分かりづらいものであるため、必ず照度計という明るさを測る機器をもって確認しておきましょう。

客室のどこで測っても5ルクスを超えている」ことが必要です。

照明の真下で超えていても、ちょっと隅の方に行くと5ルクスを下回る場合は許可は出ません。

また、照度の問題においてよくある話題が「調光器(スライダックス)」です。

ダイヤルを回せば明るさが調整できるあれです。

このスライダックスについては、「設置されているだけでダメ」と考えておいてください。

ダイヤルを最後まで絞っても5ルクスを超えていれば法令上はいいはずですが、なぜかダメです。

風俗環境浄化協会による店舗実査の際には、撤去しておく必要があります。

客室の出入口に鍵がかからないようにすること

客室の出入口にドア等があって、そのドアに鍵がかけられるとなるとアウトです。

但し、その出入口がお店自体の入口、つまり「店外への出入口」である場合は施錠できるドアでももちろん大丈夫です。(外部からの出入口にすら鍵がかけられないとなると、防犯上大変よろしくないですから。)

たまにある、お店へ入口から入ると、もう一枚ドアがあるパターンでここにひっかかることがありますが、その「もう1枚のドア」には鍵を付けてはいけないということです。

店内にはいかがわしい写真や広告物や装飾、設備を設けないこと

ごくざっくり解説すると、店内に裸の写真や絵画、デリヘルなどの広告、アダルトグッズなどの展示をしないということです。今のところ、あえてこれをやって許可申請するというツワモノは見たことがありません。

騒音や振動に耐えうる防音設備を備えていること

もう少し詳しく言うと「騒音又は振動の数値が、条例で定められた数値以下になる防音設備があること」ということで、お店の壁が薄くて音が筒抜けだったり、ドアも木製で店内の談笑やカラオケの音声が外にガンガン漏れているということでは許可は出ません。

木造の建物などでどうしてもそのままでは音や振動の問題があるときは、防音パネルなどを設置するなど大工事が必要になることもあります。

鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造のテナントビルであれば大概そのままでも大丈夫ですが、音や振動の問題は許可が出た後も近隣の方からのクレームが入るなども考えられますので、しっかり確認しておきましょう。

ダンス用の構造又は設備がないこと

社交飲食店においては、ダンス用のステージなどがあってはいけません。それはまた別の種類の許可となります。

まとめ

このように、要件は様々な観点のものがいくつかありますが、実務経験上よく問題になるのが「見通しを妨げるもの」と「照度」の問題です。

照度は照明を増やすなどして比較的簡単に対応できますが、見通しを妨げるもののうち、それが最初からある壁などの場合はそれを撤去するという大きな工事に発展するか、そうしたくてもビルオーナー(又は貸主)の意向で壁抜き工事はNGであるとか、構造の問題で撤去できない壁であるとかのどうしようもない事態に陥ることもありますので、契約前にしっかり要件について検討しておきましょう。

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