保全対象施設(旧:保護対象施設)の解説

風俗営業許可を受けるためには切っても切り離せない「保全対象施設」。

平成28年6月の風営法改正前までは「保護対象施設」と呼ばれていましたが、呼び名が変わりました。

夜のお店を開こうとしている方は次のようなことを一度は聞いたことがあるかもしれません。

  • 幼稚園や病院が近くにあると、風営法の許可は取れないよ
  • この辺では、近くに学校があるからキャバクラの許可取れないんだよね

などなど。

この、「○○の近くでは許可が下りない」ということは風営法の申請において極めて重要で、大きなポイントになります。

これからそれらを解説していきます。

保全対象施設の概要

夜のお店の中でも、女性キャストが男性客と歓談するなどで、風俗営業1号許可が必要になるお店には、用途地域の制限よりも細かく、その立地を制限するルールが適用されます。

風営法は青少年が育成していく環境や風俗環境を良好に保つという理念があります。
なので、まさか幼稚園や小学校の隣にキャバクラやクラブなどが出来ては困るわけです。

この例で言う幼稚園や小学校が「保全対象施設」に該当します。

このように、「風俗営業許可を受けるべきお店は保全対象施設からは一定距離離れなさいよ」という強いルールを敷いているのです。

まずはどのような施設が保全対象施設に該当し、それぞれどのくらいの距離制限があるのか一覧にした上で、それぞれの施設についてもう少し掘り下げて解説してみましょう。

なお、当事務所が東京都多摩地域をメインとしているため、以下は東京都公安委員会の規則を基にしています。
都道府県や地域によって制限の内容は変わりますので、東京都以外の方はご自身の地域のルールを確認してください。

保全対象施設の種類

保全対象施設 施 設 名
学 校

幼稚園、小学校、中学校、高校、大学(大学院のサテライトキャンパスなども含む)
高等専門学校、盲学校、ろう学校、養護学校

図書館 地方公共団体、日本赤十字社、一般社団法人、一般財団法人が設置する図書館
児童福祉施設 助産施設、乳児院、認可保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設(児童遊園や児童館)、児童養護施設、知的障害施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害者施設、情緒障害児短期治療施設、児童支援施設、児童家庭支援センター、母子生活支援施設
病 院 患者20人以上の入院施設を有するもの
診療所 患者19人以下の入院施設を有するもの

お店が近隣商業地域にある場合

保全対象施設の種類 距離制限(この範囲内では許可が出ません)
学校(大学を除く)
図書館
児童福祉施設(助産施設を除く)
 100m
大学
病院(第1種助産施設を含む)
診療所(入院設備8床以上あるもの)
 50m
第2種助産施設
診療所(入院設備1~7床あるもの) 
 20m

お店が商業地域にある場合

保全対象施設の種類 距離制限(この範囲内では許可が出ません)
学校(大学を除く)
図書館
児童福祉施設(助産施設を除く)
 50m
大学
病院(第1種助産施設を含む)
診療所(入院設備8床以上あるもの)
 20m
第2種助産施設
診療所(入院設備1~7床あるもの) 
 10m

学校

学校と聞いて、小中高校はすぐに頭に浮かぶと思いますが、幼稚園もここに仕分けされていることに注意です。
幼稚園は文科省管轄で、学校教育法上のれっきとした学校です。

その他、大学も学校なので制限は受けるのですが、通常、日本の大学生は18歳以上であり、かつ、その半数もしくはそれ以上が成人しているはずなので、他の学校と比べると多少距離制限は甘いです。

しかし、パッと見で「あ、ここは大学だな」とわかるキャンパスだけでなく、駅前のビルにしれっと存在していることがある「サテライトキャンパス」も保全対象施設になるということで、調査は通常よりも丹念に行う必要があります。

図書館

図書館は老若男女が入り浸りがちな代表的な施設であり、平日の日中に図書館を利用する方はお分かりだと思いますが、子連れのママなども非常に多いです。お子様が絵本を物色する格好の施設ということもあり、風俗営業の規制を受けるお店は図書館から隔離されても不思議ではないですね。

児童福祉施設

児童福祉法という法律の7条で「児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。」とされています。

たくさんありますね。

この中で特段よく出てくるのが「保育所」でしょう。

風営法「保全対象施設」の観点から見る保育所

保育所はつまり保育園のことですが、保育園は人気の高い「認可保育所」の他、東京都であれば都が認証する「認証保育所」や平成27年度から開始された「小規模保育所」などいろいろあります。

この中で風営法の保全対象施設となるのは、今のところは「認可保育所」のみです。

小規模保育所も「認可事業」ではあるのですが、これは子育て支援法を由来とし、児童福祉法第6条の3第10項に定められた保育所なので、規制対象となる児童福祉法7条の保育所には当たらないのです。

さて、認可保育所は立ち上げるのも一定の広さや園庭が求められたりするので、駅前のビルの一室にあるような保育所では認可要件を満たしていることはなく、あまり気にする必要はないかもしれません。
しかし、子育て環境に関する社会の関心は非常に高まっていて、今後はどうなっていくか分かりませんし、法律云々関係なくあまりにも露骨な立地に店をオープンさせると住民等の監視は非常に厳しいものとなる可能性があるので念のため注意しましょう。

なお、「幼保連携型認定こども園」というものもありますが、これも比較的新しい形態で、通常は幼稚園をやっている施設が、一部保育所の機能も果たし、預かり保育もやりますという保護者にとってはありがたい施設です。つまり元は幼稚園なので「学校」にも該当し、ダブルで保全対象施設となります。

母子生活支援施設は調査不能?

母子生活支援施設とは、例えば配偶者(夫)の暴力の被害に遭っている母子が一時避難のために保護され、生活できる施設(シェルター)です。

この施設も保全対象施設ですが、一般的に母子生活支援施設はどこに存在しているか公開されていません。

公開してしまうとDV夫などが追いかけてくるかもしれませんので。

しかし、当事務所は多摩地域の母子生活支援施設をある程度把握しています。地域でやっていると、情報はいろんなところから取れるのです。その上で申し上げると、母子生活支援施設については、基本的に、飲み屋街や歓楽街の近くにはありません。

従って、風俗営業の許可申請を考えるにあたっては、よほど変なところで許可を取ろうとしない限り、あまり気にする必要はありません。

病院および診療所(クリニック)

病院と診療所は、一般生活で区別している人はもしかして少ないかもしれませんが、法律上は明確に違います。

病院は、医療法第1条の5第1項によって「20床(しょう)以上の入院施設を持つ医療機関」と定められています。
つまり、入院患者のためのベッドが20以上ある医療機関は病院です。

一方、診療所は入院のためのベッドが全くないか、あっても19床以下です。

病院は問答無用で保全対象施設ですが、診療所はベッド数0床であれば無視して良いです。

また、診療所のうちベッド数7床以下か8床以上で制限される距離が変わるのは上の表のとおりです。

入院設備としてのベッドの数は必ずその地域を管轄する保健所で確認します。診療時間も日中だけだし、見るからに入院できなそうなクリニックであっても、登録上は入院設備(ベッド)有となっている場合があり、それだと保全対象施設になってしまうからです。

また、一見して普通の歯医者でも口腔外科を扱っていたりすると入院設備有となっていることがあります。保健所では通常の診療所の他に歯科、助産施設も調査しましょう。

多摩地区には関係ない「特定地域」

というわけで、東京都多摩地域には関係のない話なのでわざわざ記載するか迷ったのですが、念のため。

これまでこのページで解説してきたような保全対象施設について、一部の地域は全く考えなくてよい、調査不要とされる特別扱い地域があります。

近隣商業地域及び商業地域のうち、以下の表に記載のある地区では、例え隣に幼稚園があろうが図書館があろうが、他の要件に問題なければ許可がおります。(東京都内のみの表です。)

東京都中央区 銀座四丁目から八丁目までの区域
東京都港区 新橋二丁目から四丁目までの区域
東京都新宿区 歌舞伎町一丁目、歌舞伎町二丁目(9番、10番、及び19番から46番まで)及び新宿三丁目の区域
東京都渋谷区 道玄坂一丁目(1番から18番まで)、道玄坂二丁目(1番から10番まで)及び桜丘町(15番、16番)の区域

※風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の施行に関する規則による東京都公安委員会が認める区域(昭和60年3月1日公安委員会告示第33号より)

 

追記 調査方法の記事を追加

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