深酒営業届出の流れ

深夜における酒類提供飲食店の届出とは、どういう順番で進んでいくのでしょうか。

それについて解説していきたいと思います。
少し長くなるので、目次を用意しました。クリックするとその項目に飛びます。

1.お店の内容を考える

まず真っ先に考えるべきことは、自分が始めたい店について

  • どういう食べ物、飲み物を提供するのか
  • どういうサービスを売りにしたいのか

ということを企画、決定しておく必要があります。

居酒屋なのか、バーなのか、スナックなのか。
また、食べ物がメインなのか、お酒がメインなのか。

接待行為を行うのか否か

などですね。

これによって、単なる飲食店営業許可で済むのか、深夜における酒類提供飲食店の届出が必要となるのか、もしくは風俗営業許可が必要となるのかが決まることになります。

 

2.お店の営業時間、立地の目星をつける

営業時間は日中のみか、もしくは深夜に渡って営業を希望するのか、
また場所については商店街の中にするのか、歓楽街にするのか、もしくは住宅地の隠れ家的お店にするのかを考えていくことになります。

通常の飲食店は住宅街での営業も24時間営業も可能(建物の構造・形状や都市計画法上の問題により、営業できない場合ももちろんあり)ですが、深夜酒類提供飲食店は住宅街での営業は禁止であり、風俗営業許可であればそれに加えて深夜0時以降の営業は禁止となるので、ここは自分の中で順位をつけて、場合によっては何をあきらめるのかを決める作業になります。

(参考)
現在の法制度では

  • 主に酒を飲ませるお店で
  • 住宅街において
  • 深夜0時以降も営業し
  • 客に対して接待行為を行う

ということを同時に満たすお店はどうあがいても不可能です。

 

3.お店の場所を決める(テナントを探す)

店の内容がある程度決まったら、それに見合った「ハコ」を探す必要があります。

探す方法としては知り合いのつて、インターネットの賃貸サイトなどがあるでしょうが、基本的にはご自身で街に出て「テナント募集」の看板を中心にあたっていった方が良いでしょう。

店の立地や付近の人の流れも分かりますし、何より、テナント募集の看板は募集が始まったら即取り付けられ、入居者が決まったら即外すというのが通常なので、下手に不動産屋に問い合わせて来店する間に他で成約してしまったということも少ないです。

 

しかしここで一点、絶対に気をつけてほしいことがあります。

 

そのテナント物件が深酒営業届出の要件を満たすのかどうかを必ず確認してから申込、契約してください。

 

要件のうち「店内にいかがわしい写真などは掲示しない」「1m以上の仕切りで見通しを妨げない」などは後で何とでもなるのですが、「立地要件」と「構造要件」はもうどうにもなりません。

 

仮に不動産屋が「ここだったら風営法の許可取れるよ」と言ったとしても、また、そのビルで実際に深酒営業をやっている他の店があったとしても、要件を満たしているかどうかは、ご自身で、その都度確認してください。

前者については、言っては悪いですが、全ての不動産屋が風営法を理解しているわけではないですし、後者については、もしかして無届営業かもしれません。

深酒営業届出よりも要件が厳しい風俗営業許可をきちんと取って営業している他のお店があったとしても同様です。
そのお店は風営法がまだ緩い時代に許可を取って「既得権営業」しているお店かも知れません。

 

もしご自身で調査することに不安があれば、必ず当事務所のような専門行政書士を頼ってください。これは「お勧め」ではありません。必ずそうして欲しいということです。

 

(契約前に少なくとも必ずこの2要件はチェック)

お店の場所(立地)が禁止エリアではないこと

店内の構造が基準を満たしていること

 

4.経営を法人名義でやるか個人名義でやるかを決める

一旦ここまでの間に決めておくこととしては、

経営は 法人名義 or 個人名義 のどちらで行うかということです。

個人名義であれば特段何もする必要はないですが、株式会社などの法人名義で経営していきたいのであれば、早めに会社設立の段取りを取っておかなくてはなりません。

例えば株式会社を一から立ち上げるにもそれなりの時間はかかります。

定款を作って、資本金を払い込んで、各種書類を集めて作って・・・という部分は自身の努力で多少の期間短縮にはなりますが、株式会社は法務局(登記所)に登記をしなければなりません。

登記申請から登記完了までおおよそ1週間くらいはかかることが多いです。

もし法人でやるのであれば、飲食店営業許可も深夜における酒類提供飲食店営業の届出も、法人が完成してから行わなければなりませんので、段取りを間違うとタイムロスが発生してしまいます。

 

さて、深夜における酒類提供飲食店営業の届出の観点から、法人名義と個人名義のどちらがオススメかと言えば・・・

 

個人的には、法人名義をお勧めしたいところです。

その理由についてはまた別のページ(⇒深酒営業は法人名義と個人名義どっちが有利?)でご説明します。

とにかく、法人か個人かを決めておかないと先には進めないのできちんと考えておきましょう。

 

5.テナントを契約する(賃貸物件の場合)

さて、お店を開く場所を決めたらその物件を賃貸します。

その建物賃貸借契約書は不動産屋の指示に従って進めていけば良いでしょう。

この時、念のためその建物の所有者から「使用承諾書」を取得できるかどうかは確認しておきましょう。

使用承諾書とは建物の所有者が店子(テナント賃借人)に対して「この建物を〇〇の商売に使っていいよ」ということを示す書類です。

東京都の場合は原則として「所有者が承諾した」体裁を整えることが求められます。
ただ、平成26年10月に警察庁が出した風営法許可運用の解釈基準を見る限りは、絶対に使用承諾書が取れなければダメということでもなさそうで、実際、強く求められることはほとんどありません。この辺はその時次第ですかね。

 

6.内装工事を行う

テナントを居抜きで借りて、全く、どこひとつも工事をしないで済むのであればいいのですが、現実としてそういうケースはないでしょう。
スケルトンで借りたのであれば当然に、また居抜きで借りたとしてもどこかしら内装は整えるはずです。

そのための内装業者を探して、工事をやってもらう必要があります。(もちろん、腕に自信があればご自身で内装工事をすることはかまいせん。)

深酒営業の届出はもちろんのこと、その前段階で必要になる飲食店営業許可に関しても、内装が完成に近づいてからの申請となります。

従って、内装が終わらないとこれまたいつまで経っても先には進めないということになります。

そして、飲食店営業許可及び深酒営業届出の手続きを行政書士などの専門家に依頼する場合はあまり気にしなくとも良いですが、ご自身で手続きを行う場合の注意点を言っておきます。

どのような内装にするか決まった段階で内装工事業者などから工事(完成予想)図面が出ます。そこまで来たら、工事に着手する前に必ずやってほしいことがあるのです。

 

それが、

 

①飲食店営業許可を管轄する保健所に対して「事前相談」に行く
②深酒営業届出を管轄する警察署に対して「事前相談」に行く

 

の二つです。

工事図面を持って行き、それぞれの許可要件、届出要件に合致しているか確認するのです。

内装工事に入ってから後で要件に合致していないことが分かると余計なお金がかかります。やり直す時間も無駄になります。
この辺りはきちんど段取りを組んで、早め早めで進めていきましょう。

内装工事の期間については、工事業者や内容によりますが、皆さんおおよそ3週間~1ヶ月半くらいの期間をかけられているようです。

 

7.飲食店営業許可申請の準備

保健所、警察署への事前相談を済ませ、内装工事に取り掛かったら、いよいよ飲食店営業許可申請の準備に入ります。
深酒営業の届出の前提となる許可なので、先に取っておくのです。

さて、この飲食店営業許可の申請については、「食品衛生責任者」の資格を持った人が最低1人いないといけません

もちろん、許可申請前にその資格を取っておく必要があります。

 

とは言っても、食品衛生責任者資格を取るのは比較的簡単です。東京都の場合は食品衛生責任者養成講習会を受講することでその資格を得ることができます。(おおよそ6時間の研修で費用は10,000円程度)

3日に1回くらいはどこかで講習会が開かれていますので、日程を確認して申し込み、受講するようにしましょう。
(参考)食品衛生責任者養成講習会の日程(東京都)

 

8.飲食店営業許可の申請

申請書類一式も揃い、食品衛生責任者の資格が取れたら申請します。
申請先(書類の提出先)はお店の場所を管轄する保健所です。(保健所の管轄表はこちら

申請の時期としては、おおよそですが

店舗内装工事が完成する10日前くらい

を目安にします。

前もって保健所に申請の予約をし当日申請書類を持っていくと、まずは書類に不備はないか、また書類上で許可要件に合っているかどうかを確認されます。
書類に問題なければその場で「施設検査」の日時をすり合わせることになります。

この施設検査は保健所の職員が実際に店舗に出向き、その現場で設備に問題がないか、書類上の記載と合っているかなどを確認する作業です。

そこでも問題がなければ飲食店営業許可書が発行され交付される日を書面(営業許可書交付予定日のお知らせ)で伝えられますので、その日に再度保健所に出向いて営業許可書を受け取る、という流れです。
(この時、営業許可書交付予定日のお知らせ用紙と認印を持参します。)

これにて、晴れて飲食店営業許可が出ました。

 

9.深夜における酒類提供飲食店営業の届出準備

手続きもいよいよ終盤です。
最終目的となる深夜酒類提供飲食店の届出準備に入ります。

なお、飲食店営業許可が下りてから深酒営業の届出が受理されるまでの間についてですが、原則として通常の飲食店営業も行ってはならないということになっています。この点はご注意ください。

ここまで来ると飲食店営業許可が得られている前提がありますので、特段新たに資格を得たりなどする必要はありません。
届出に必要な書類を粛々と作成し、役所から取る書類があればそれを集め、届出書一式を完成させるだけです。

 

とは言っても、深酒営業届出に添付する店内図面などは飲食店営業許可で認められるレベルよりもかなり高いものが要求されますので、場合によっては図面を作り直す必要があるかも知れません。

間違っても、内装工事業者からもらった図面を届出書に添付することはやめましょう。
建築図面と風営法の申請のための図面では面積の測り方などが違うので基本的にはそのまま流用はできません。

この段階に来ると備品の手配、仕入れの手配、スタッフの手配などでてんてこ舞いになることも多いですから、自分でやる時間がないと思ったら多少のお金を支払ってでも、行政書士などの専門家に依頼してしまった方が良いかもしれませんね。

当事務所は図面作成(店内測量作業含む)のみのご依頼も承っておりますので、ご検討ください。

 

10.深夜における酒類提供飲食店営業の届出

書類も揃い、届出書類一式が完成したら、いよいよ管轄の警察署へ届出書を持っていきます。

届出(提出)の時期ですが、

 

営業を開始しようとする10日前

 

です。

 

営業開始が予定より遅れる分は構いませんが、届出をした日から9日後に営業開始すると厳密には違法となりますのでご注意ください。

さて、届出書を提出するとその場で担当官から書類をチェックされ、風俗営業法のルールに従った内容になっているかを確認されます。
この段階で万一書類に不備があったり、内容が届出の基準に適合していなかったりすると「不受理」、つまり届出がはねられてやり直しです。

警察の指示を聞いて直して再提出できる場合は素直に出直すのが一番でしょう。
基本的に、揉めてもあまり良いことはありません。

一方、ここで書類に不備が無ければ届出はめでたく受理。
この段階で(営業が開始できるのは10日後ではありますが、)営業できることが確実となります。

風俗営業許可と違って、深夜酒類提供飲食店営業の届出には後日警察サイドの担当者が店舗を訪れて現場チェックする「実査」はありません

あとは10日待てば晴れて深夜酒類提供飲食店としての営業を開始できます。

なお、以前まであった深夜酒類提供飲食店の営業届出済シール(写真参照)はもう無くなりました。

 

飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店営業届出の手続きを当事務所にご依頼いただければ、上記手順の大半から解放されます。
店の創業者だけができる仕事に集中するためにも、ご依頼をご検討下さい。

 

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